早春に北斗七星、しし座、うみへび座を見つけよう 2008年2月〜3月

このページの星空は、次の日時でも同じように見ることができます。
   2月23日21時
   3月10日20時
   3月25日19時

 外はまだ寒風が吹きすさんでとても寒いこの季節。夜空もまだまだ冬の星座が大きく広がっているのですが、そんな中、東の方から春の星座たちが少しずつ顔を見せはじめています。夜空の方は次第に春が近づいてきているようです。ここでは早春に見ることのできる北斗七星を筆頭に、見やすい早春の星座を探すことにしましょう。

北斗七星を見つけよう

北東の空に見える北斗七星
北東に見える北斗七星

北東の空を見上げよう

 あなたはどんな星座を知っていますか? このように聞かれたらあなたは何と答えますか。冬のオリオン座、夏のさそり座、北天のカシオペア座とともに、北斗七星と答える方も多いのではないでしようか。北斗七星は7個の明るい星が、特徴あるひしゃく型に並んでいるので有名ですね。だからこそ昔から北斗七星と呼んで多くの人に親しまれてきました。しかし、実を言うと北斗七星は星座ではありません。正式にはおおぐま座という星座の一部ですから覚えておいてくださいね。

 さて、夜の8時頃、北東の方角を向きましょう。空の中ほどを見上げると、ちょうどひしゃくの形を立てたような格好をしている7個の明るい星がよく目につきます。これが北斗七星です。北斗七星は2等星が6個、3等星が1個で作られていますので、少々明るい都会の夜空でも見つけることができるでしょう。
北斗七星を使って北極星を見つけよう

 北斗七星を使うと北極星(ポラリス)を探すことができる話は有名ですね。みなさんも次のリンクから北極星を見つけてみましょう。

    「探そう・・目印/惑星/星雲・星団」の中にある北極星
北斗七星からM81、M82を見つけよう

 北斗七星はおおぐま座という星座の一部であることは先にお話したとおりですが、おおぐま座の中には見やすい星雲がいくつかあります。その中でも特に見やすい星雲M81、M82を紹介しましょう。M81は6.9等、M82は8.4等という明るい銀河で、0.6度ほどの間隔を開けて「ハ」の字型に並んでいます。

 下の絵は北斗七星のひしゃく付近を拡大したものです。γ星からα星をたどり、この距離をそのまま延長するとM81、M82が見つかります。双眼鏡では都会の夜空からだと難しいのですが、田舎の暗い夜空では、50mmくらいの双眼鏡でも小さな「ハ」の字型に並んでいることがわかります。また、天体望遠鏡を使って30倍程度の低倍率で観測すると、この様子がハツキリとわかります。そして、M81は楕円型をしていることや、M82は細長い形をしていることもわかります。口径80mm程度の天体望遠鏡になると、M82は明るさにムラがあることがハッキリとわかるようになります。
北斗七星からM81、M82の見つけ方
北斗七星からM81、M82をたどる

しし座を見つけよう

東の空からのぼるしし座
東の空からのぼるしし座

東の空から昇るしし座

 しし座といえば春を代表する星座ですね。しし座は黄道12星座として星占いでも登場してなじみが深い上に、ライオンの頭、胴体、前足、後ろ足に加えてしっぽまで備わっており、全天でも屈指の美しい星座として親しまれています。

 そんなしし座が東の空に見えます。空の中ほどに注目してみましょう。しし座の1等星レグルスがすぐに見つかることと思います。2008年の場合はすぐ左下あたりに0等星で光る土星がいるので、2つの明るい星が斜めに並んでいるのが見つかることでしょう。上側に見える星がレグルスで、下側に見える落ち着いた黄土色をした星が土星になります。
ししの大がま

 レグルスを見つけたところで、レグルスの左上方向へ向けて「?」マークを裏返したような形を見つけましょう。これらの星の並びは作物を刈り取る時に使われる鎌のような形をしていることから、ししの大がまと呼ばれています。このあたりは、しし座の胸から頭の部分になります。

 ししの大がまあたりから左下方向へ細長い四角形をつくりますと、これがしし座の胴体です。そして、その先にある2等星デネボラがしし座のしっぽです。しし座の胴体からは前足と後ろ足も伸びているのですが、残念ながら都会の夜空でここまで確認するのは難しく、顔、胸、胴体、しっぽまで確認できれば十分でしょう。これだけでも勇ましく夜空を駆け上がるライオンの姿を想像するのは簡単で、とても形が整った美しい星座であることがわかります。
見やすい3個の銀河

 しし座には淡い銀河がたくさんあるのですが、その中でも最も面白いものを紹介しましょう。しし座の後ろ足にあるM65M66NGC3628という3つの銀河です。天体望遠鏡を使って30倍程度の低倍率にすると、3つの銀河を同一視野で観測することができるというものです。しかもそれぞれが個性豊かで、M65は9等級で細長い楕円型、M66は9等級で楕円型、NGC3628は10等級で細長い形をしています。このうちNGC3628はM65、M66と比べると少し暗いので、空が悪かったりすると小型の天体望遠鏡では見えないかもしれません。

 天体望遠鏡でのぞいたこれらの銀河は写真で見るのと違って大変淡いもので捉えどころがありません。しかし、これらの銀河から2000万年から3000万年もの歳月をかけて、ようやくあなたの目に届いた光なのです。そんなことを考えながら果てしないロマンを感じてみるのも天体観測の醍醐味ではないかと思います。
M65、M66、NGC3628の見つけ方

うみへび座を見つけよう

南東の空に見えるうみへび座
南東の空から昇るうみへび座

南東の空に見えるうみへび座

 しし座を見つけたところで、今度はもう少し南の方へ視線を移動させましょう。先に見つけたししの大がまを形作る星のうち、首のあたりに位置する2等星から1等星のレグルスの方へ3倍ほど延長してみましょう。そこにポツンと輝く2等星が見つかるはずです。これはうみへび座の主星で、アルファードといいます。
縦に伸びる長い星座

 この時期のうみへび座は縦方向に細長く伸びています。うみへび座は全天一の面積を持つ大きな星座だけに、その伸び方は半端ではありません。今見えている部分だけでもたいがい長いのに、うみへび座のしっぽの先まで完全に見届けよう思ったら、日付が変わる前頃まで待たなければなりません。ということで、うみへび座の全景を見るのは今回はあきらめることにしましょう。

 先に見つけたアルファードをはさんで上下方向にウネウネと伸びた星たちをていねいにたどってみてください。上方向に頭があり、下方向がしっぽになります。うまくたどれましたか? 本来ならば見事なうみへびの姿(ギリシャ神話ではヒドラ)が浮かび上がるはずなのですが、都会の夜空では少々骨が折れるかもしれません。ここでは見ることのできる星たちをポツポツとたどりながら、長く伸びたうみへび座の雰囲気をつかんでいただきたいと思います。

プレセペ星団を観測しよう

プレセペ星団の見つけ方
プレセペ星団の見つけ方

春の一番手 かに座

 春の星座で先陣をきって登場するのはかに座ですが、この時期早くも、かに座はすっかり高い位置まで昇っています。かに座の位置は、先にみつけたうみへび座の頭から上方になり、しし座のレグルスからだと右上方向になります。
プレセペ星団を観測しよう

 かに座は黄道12星座のひとつとして有名なのですが、その知名度の割にはさえない星座で、なんともつかみどころがありません。都会の夜空では全くの空白地帯のように思えてしまいます。そんなかに座の中央付近には蜂の巣を意味するプレセペ星団という大きな散開星団があります。プレセペ星団は75個ほどの恒星が集まってできた星団です。

 プレセペ星団は非常に大きくて明るい天体で、街灯りが少ない場所で良く晴れた夜なら、肉眼でもぼんやりとした光の塊として確認することができます。プレセペ星団へ初めて天体望遠鏡を向けたのは、1610年に人類初の天体望遠鏡を作ったあのガリレオです。当時の程度があまり良くない天体望遠鏡でも、40個ほどの星を確認することができたと記されています。

 現在では双眼鏡を使えばプレセペ星団は多くの星が集まってできていることがわかり、ため息が出るような美しい光景です。天体望遠鏡を使えば完璧で、視野いっぱいにちりばめられた星々を堪能することができるでしょう。黄色やオレンジ色をした星が含まれていることにも注意してご覧ください。

早春の星座はいかがだったでしょうか。うまく見つけることができましたか?
春の星座はまだまだこれからが本番ですから、これからも一つずつ見つけてあげてくださいね。

2008.2.17 新規